和歌と俳句

残暑

戦果つ残る暑さのきびしきに 草城

くさくさの稔りに入りし残暑かな 虚子

秋あつく地をあらはにも山おもて 蛇笏

朝夕がどかとよろしき残暑かな 青畝

秋暑き猫の横顔たけだけし 草城

秋暑し五指を披きて書を支ふ 草城

ビラの文字車中秋暑をなぐさめず 草田男

立ち眩みしが明るみ来残暑の樹 波郷

樹々の葉の顫へ湛ふる残暑光 波郷

萩のはや花をつけたる残暑かな 万太郎

庭下駄を雨ぬらし去る残暑かな 万太郎

残暑に倦み猫を邪慳に扱へり 草城

残暑とはショートパンツの老人よ 立子

おたがひにみるかげもなき残暑かな 万太郎

河骨の黄のすがれしも残暑かな 

夜に入りて残暑退りぬまはりまち 万太郎

町残暑明日何あるも人知らず 立子

牛掘でうなぎくひたる残暑かな 万太郎

暑かりし日を思ひつつ残暑かな 虚子

夜も残暑パンク以上の音一つ 草田男

身から出た錆もちあぐむ残暑かな 万太郎

日帰りで佐渡をみて来し残暑かな 万太郎

膳残暑皿かずばかり竝びけり 万太郎

一服の緑茶に残暑おさへたり 立子