和歌と俳句

内藤丈草

裏門の竹にひびくや鉢叩き

うづくまる薬の下の寒さ

藍壺にきれを失ふ寒さかな

雪よりは寒し白髪に冬の月

幾人かしぐれかけぬく勢田の橋

黒みけり沖の時雨の行くところ

野も山も雪にとられて何もなし

さかまくやふりつむ嶺の雪の雲

納豆するとぎれやみねの雪起

淋しさの底ぬけてふるみぞれかな

かみこきて寄はいろりのはしり炭

炭がまや隣の人か焼に行

下京をめぐりて火燵行脚かな

影法師の横になりたる火燵

着てたてば夜のふすまもなかりけり

風引て物おもはせん夜着の外

十五日春やのしこむ年わすれ

追鳥も山に帰るか年の暮