笹竹の窓にはひこむぬかご哉
はつ茸や妹にくはせん草結び
やはらかにふくさ折つたり雪曇り
竹の戸に炭鋸を道具哉
炉開きの里初富士おもふあしたかな
雪竿をいづくにたてて見る山ぞ
糸を見ぬ鏡に千代の綿子かな
落葉をくだくや納豆打つ寒夜
亥の子の夜几下にかかる小袖かな
皹やほそ谷川は石高み
風の駒雲の車や神送り
お火焼や塵にまじはる箒の神
かみ声を引出しけり小前張
むつまじや追儺の宵の人の声
はし鷹や跡も尋る智仁勇
青首やおなじ緑の菜摘川
水凝て鴨なく星の林かな
鴛鴦の胸迄赤きよそひ哉
寝て起て鰤売声を淋しさの果
帰り咲や狐川より志賀の花
冬ぼたん手をあたたむる茶碗かな
日の本の人の多さよ年のくれ
勝手より子の這て出るとしのくれ
行年の道はありけり橋あらひ