太宰帥敦道親王
こひといへば よのつねのとや おもふらん けさのこころは たぐひだになし
返し 和泉式部
よのつねの ことともさらに おもほえず はじめてものを おもふ身なれば
和泉式部
ゆめにだに 見であかしつる あかつきの こひこそこひの かぎりなければ
謙徳公
とりのねに いそぎいでにし つきかげの のこりおほくて あけしそらかな
後京極摂政前太政大臣良経
みしひとの ねくたれがみの おもかげに なみだかきやる さよのたまくら
大蔵卿有家
くもとなり あめとなるてふ なかぞらの ゆめにもみえよ よるならずとも
中納言近宗
うたたねの はかなきゆめの さめしより ゆふべのあめを みるぞかなしき
小侍従
くもとなり あめとなりても 身にそはば むなしきそらを かたみとや見む
小侍従
いかなりし ときぞやゆめに 見しことは それさへにこそ わすられにけり
従三位頼政
きみこふと ゆめのうちにも なくなみだ さめてののちも えこそかわかね
清輔朝臣
いかにして さめしなごりの はかなさぞ またもみざりし 夜半のゆめかな
堀河
ゆめのごと みしはひとにも かたらぬに いかにちがへて あはぬらるらん
前関白道家
みるとなき やみのうつつに あくがれて うちぬるなかの ゆめやたえなん
權大納言忠信
わがこころ やみのうつつは かひもなし ゆめをぞたのむ くるる夜ごとに
藤原永光
さりともと たのむもかなし むばたまの やみのうつつの ちぎりばかりは
藤原隆信朝臣
こひしなむ のちのうきよは しらねども いきてかひなき ものはおもはじ
俊恵法師
あかつきの とりぞおもへば はづかしき ひと夜ばかりに なにいとひけん
よみ人しらず
たまのをの たえてみじかき なつのよの 夜半になるまで まつひとのこぬ
二條院皇后宮常陸
とへかしな あやしきほどの ゆふぐれの あはれすぐさぬ なさけばかりに
建礼門院右京大夫
わすれじの ちぎりたがはぬ 世なりせば たのみやせまし きみがひとこと