高松院右衛門佐
これもまた いつはりぞとは しりながら こりずやけふの くれをまたまし
中宮少将
いつはりと おもひとられぬ ゆふべこそ はかなきものの かなしかりけれ
後京極摂政前太政大臣良経
なみだせく そでにおもひや あまるらん ながむるそらも いろかはるまで
後京極摂政前太政大臣良経
うきふねの たよりもしらぬ なみぢにも 見しおもかげの たたぬひぞなき
式子内親王
わぎもこが たまものとこに よるなみの よるとはなしに ほさぬそでかな
前内大臣通光
まつしまや わがみのかたに やくしほの けむりのすゑを とふひともがな
權中納言定家
こぬひとを まつほのうらの ゆふなぎに やくやもしほの みもこがれつつ
權中納言長方
こひをのみ すまのしほひに たまもかる あまりにうたて そでなぬらしそ
正三位家隆
こころから わがみこすなみ うきしづみ うらみてぞふる やへのしほかぜ
平忠度朝臣
たのめつつ こぬよつもりの うらみても まつよりほかの なぐさめぞなき
源家長朝臣
こぎかへる そでのみなとの あまをぶね さとのしるべを たれかをしへし
真昭法師
いはみがた なみぢへだてて ゆくふねの よそにこがるる あまのもしほ火
正三位家衡
わがこひは あふよもしらず ふたみがた あけくれそでに なみぞかけける
鎌倉右大臣実朝
しらまゆみ いそべのやまの まつのいろの ときはにものを おもふころかな
前関白道家
わくらばに あふさかやまの さねかづら くるをたえずと たれかたのまむ
前関白道家
むさしのや ひとのこころの あさつゆに つらぬきとめぬ そでのしらたま
權中納言定家
くるる夜は 衛じのたくひを それとみよ むろのやしまも みやこならねば
正三位家隆
いはのうへに なみこすあべの しまつどり うきなにぬれて こひつつぞふる