和歌と俳句

加賀千代女

竹はまたもてあそぶ也今朝の雪

払はぬはおのが羽なり鷺の雪

暮るるまで続くる雪や蔦のもと

我ものでわれをはなるや雪丸め

ころぶ人を笑ふてころぶ雪見哉

さそはれて尻の重たき雪見哉

ひとりふたりもう独もよき雪見かな

行もどり雪見るひとりふたり哉

寄ものにもののとりつく氷かな

寄ものに水草の付氷かな

心なうちぎりしあとや冬牡丹

美しう昔をさくや冬ぼたん

寒くなくば人から人ぞ水仙花

水仙のたむけや雪の眼にわかず

水仙の香やこぼれても雪の上

水仙は名さへつめたう覚えけり

水仙や常はつめたき薮の中

水仙や誠は水の花なるに

水仙花よくよく冬に生れつき

山陰や枯木の僧に冬の梅

折々の日のあし跡や冬のむめ

冬の梅咲やむかしのあたたまり

独づつかはりかはりや冬の梅

二つ三つ鳥に忍ぶや冬の梅