はつ雪はまた水くさに降にけり
はつ雪やほむる詞もきのふけふ
はつ雪や降おそろしう水の上
はつ雪や子どもの持てありくほど
はつ雪や松のしらべも懐手
はつ雪や返し書く間はなかりけり
初ゆきや風のねふりのさむるまで
初雪やうけてをる手のそとに降
初雪やこぞ初雪も一二寸
初雪やつめたさは目の底にあり
初雪や家毎に降てあればこそ
初雪や橋まで降て落もせず
初雪や見るうちに茶の花は花
初雪や鹿はおもひのちどり脚
初雪や水へも分ず橋の上
初雪や朝寝に雫みせにけり
初雪や麦の葉先きを仕舞かね
初雪や鴉の色の狂ふほど
まだ重き寒さは置ず竹の雪
山彦の口まで寒きからす哉
身に添うてひとりひとりの寒さ哉
身を思ふ思はぬ人もさむさ哉
朝の日の裾にとどかぬ寒さ哉
明烏けふの寒さも東より
鰐口の物言かぬる寒さかな