閏月のそのめも見えず年のくれ
朝起もひとつに年はくれにけり
行としや連たつものは何と何
年の内に柳ばかりは柳かな
梅ばかり誠の事やとしの内
くれの雪や山ちかふ成遠ふなり
けさの雪さらへのみちのありやなし
けさの雪さらへの残りありやなし
しなわねばならぬ浮世や竹の雪
そっと来る物に気づくや竹の雪
つめたさは目の外とにありけさの雪
花となり雫となるや今朝の雪
此雪に誰ためなるぞ杖の跡
松の葉のあづかり物や今朝の雪
吹れ吹身をかたつけて雪の竹
吹事をわすれて見るや竹の雪
水仙の花とりもどす今朝の雪
水仙は香をながめけり今朝の雪
声なくば鷺うしなはむ今朝の雪
青き葉の目にたつ比や竹の雪
雪のあした鷹と見るは鳥かな
雪のある松に聞すな風の音
雪の夜やひとり釣瓶の落る音
雪の有ものにきかすな松の声
叩かれて寝夜や雪の降けしき