和歌と俳句

後撰和歌集

よみ人しらず
かささぎの峰とびこえてなきゆけば夏の夜渡る月ぞかくるる

よみ人しらず
秋ちかみ夏はてゆけば郭公なく声かたきここちこそすれ

よみ人しらず
つつめどもかくれぬ物は夏虫の身よりあまれる思ひなりけり

よみ人しらず
あまの河水まさるらし夏の夜は流るる月のよどむまもなし

貫之
花もちり郭公さへいぬるまで君にもゆかずなりにけるかな

よみ人しらず
はな鳥の色をもねをもいたづらに物うかる身はすぐすのみなり

よみ人しらず
夏虫の身をたきすてて玉しあらば我とまねはむ人めもるみぞ

よみ人しらず
こよひかくながむる袖のつゆけきは月の霜をや秋とみつらん

よみ人しらず
かも河のみなそこすみててる月をゆきて見むとや夏はらへする

よみ人しらず
七夕は天の河原をななかへりのちのみそかをにはせよ