和歌と俳句

在原業平

古今集・雑歌
大原や をしほの山も けふこそは 神世のことも 思ひいづらめ

伊勢物語.十七古今集・春
けふこずは あすは雪とぞ ふりなまし 消えずは有りとも 花と見ましや

伊勢物語・八十二古今集・春
世の中にたえてさくらのなかりせば春の心はのどけからまし

古今集・春
ぬれつゝぞしひて折りつる年のうちに春はいくかもあらじと思へば

古今集・秋
うゑしうゑば秋なき時やさかざらん花こそちらめねさへかれめや

伊勢物語・二古今集・恋
起きもせずねもせで夜をあかしては春の物とてながめくらしつ

あやめかり君は沼にぞまどひける我は野にいでてかるぞわびしき

後撰集・秋
ゆく蛍雲のうへまでいぬべくは秋風ふくと雁につげこせ

後撰集・秋
秋萩を色とる風は吹きぬとも心は枯れじ草葉ならねば

わがかどにちひろあるかけを植ゑつれば夏冬たれか隠れざるべき

伊勢物語・十
み吉野のたのむの雁もひたふるに君がかたにぞよるとなくなる

伊勢物語・十
わがかたによるとなくなるみ吉野のたのむの雁をいつか忘れむ

あふなあふな思ひはすべしなそへなくたかきいやしきくるしかりけり

かちひとの渡れどぬれぬ縁あればまた逢坂の関はこえなむ

古今集・秋小倉百人一首
ちはやふる神世もきかずたつた川から紅に水くゝるとは

名のみたつしてのたをさは我ぞなくいほりあまたと疎まれぬれば