古今集・春・小倉百人一首
花の色はうつにけりないたづらにわが身世にふるながめせしまに
古今集・恋
思いつつぬればや人の見えつらん夢と知りせばさめざらましを
古今集・恋
うたたねに恋しき人を見てしよりゆめてふ物はたのみそめてき
古今集・恋
いとせめて恋しき時はぬばたまの夜の衣をかへしてぞきる
古今集・恋
おろかなる涙ぞ袖に玉はなす我はせきあへずたぎつ瀬なれば
古今集・恋
みるめなきわが身をうらと知らねばやけれなであまの足たゆくくる
古今集・恋
秋の夜も名のみなりけりあふといへば事ぞともなく明けぬるものを
古今集・恋
うつつにはさもこそあらめ夢にさへ人めをもると見るがわびしさ
古今集・恋
限りなき思ひのまゝによるもこむ夢路をさへに人はとがめじ
古今集・恋
夢路には足もやすめず通へどもうつゝに一目見しごとはあらず
古今集・恋
あまのすむ里のしるべにあらなくにうらみんとのみ 人のいふらん
古今集・恋
今はとてわが身時雨にふりぬれば言の葉さへに移ろひにけり
古今集・恋
色みえでうつろふものは世の中の人の心の花にぞありける
古今集・恋
秋風にあふたのみこそかなしけれわが身空しくなりぬと思へば
古今集・雑歌
わびぬれば身をうき草の根を絶えて誘ふ水あらばいなんとぞ思ふ
古今集・雑歌
あはれてふ言こそうたて世の中を思ひ離れぬほだしなりけれ
古今集・雑躰俳諧歌
人にあはんつきのなきには思ひおきて胸はしり火に心やけをり
後撰集・恋
心からうきたる舟にのりそめてひと日も浪に濡れぬ日ぞなき
後撰集・雑歌
あまのすむ浦こぐ舟のかぢをなみよをうみわたるわれぞ悲しき
後撰集・雑歌
いはのうへに旅寝をすればいとさむし音の衣を我にかさなむ
後撰集・離別羇旅
花さきてみならぬ物はわたつうみのかざしにさせる沖つ白浪
新古今集・秋
吹きむすぶ風はむかしの秋ながらありしにも似ぬ袖の露かな
新古今集・秋
たれをかもまつちの山の女郎花秋とちぎれる人ぞあるらし
新古今集・哀傷
あるはなくなきは數添ふ世の中にあはれいづれの日まで歎かむ
新古今集・恋
わがみこそあらぬかとのみたどらるれ問ふべき人に忘られしより
新古今集・雑歌
こがらしの風にもみぢて人知れずうき言の葉のつもるころかな
新勅撰集・秋
あきの月 いかなるものぞ わがこころ なにともなきに いねがてにする
新勅撰集・恋
みなといりの たまつくり江に こぐふねの おとこそたてね きみを恋ふれど
新勅撰集・恋
みるめかる あまのゆききの みなとぢに なこそのせきも わがすゑなくに
新勅撰集・恋
こぬひとを まつとながめて わがやどの などかこのくれ かなしかるらん
新勅撰集・恋
たのまじと おもはむとては いかがせん ゆめよりほかに あふよなければ
新勅撰集・雑歌
むさしのの むかひのをかの くさなれば ねをたづねても あはれとぞおもふ
続後撰集・秋
ながめつつ すぐる月日も しらぬまに 秋のけしきに なりにけるかな
続後撰集・恋
しる人も しられざりけり うたかたの うき身も今や もの忘れして
続後撰集・雑歌
はかなくて 雲となりぬる ものならば かすまむ方を あはれともみよ
続後撰集・羈旅
露の命 はかなきものを 朝夕に いきたるかぎり あひみてしがな