古今集
春ごとに流るる河を花とみて折られぬ水に袖やぬれなん
古今集
年をへて花の鏡となる水はちりかかるをやくもるといふらむ
古今集
見る人もなき山ざとのさくら花外のちりなん後ぞさかまし
古今集・夏
五月こば鳴きもふりなん郭公まだしき程のこゑをきかばや
古今集・物名
浪の花おきからさきてちりくめり水の春とは風やなるらむ
古今集・恋
知るといへば枕だにせでねしものを塵ならぬ名のそらにたつらむ
古今集・恋
夢にだに見ゆとは見えじ朝な朝なわがおもかげにはづる身なれば
古今集・恋
わたつみとあれにし床を今さらに払はば袖やあわとうきなむ
古今集・恋
ふるさとにあらぬものから我がために人の心の荒れて見ゆらむ
古今集・恋
あひにあひて物思ふころのわが袖にやどる月さへ濡るるかほなる
古今集・恋
三輪の山いかに待ちみむ年ふともたづぬる人もあらじと思へば
古今集・恋
冬がれの野辺とわが身を思ひせばもえても春を待たましものを
古今集・恋
人知れずたえなましかば侘びつつもなき名ぞとだにいはましものを
古今集・雑躰
難波なる長柄の橋もつくるなり今はわが身をなににたとへむ