古今集・秋
きりぎりすいたくな鳴きそ 秋の夜のながき思ひは我ぞまされる
古今集・恋
いつはりの涙なりせば 唐衣 しのびに袖はしばらざらまし
古今集・雑歌
君を思ひ おきつの浜に鳴くたづの 尋ねくればぞありとだにきく
古今集・雑歌
なよ竹のよながきうへに 初霜のおきゐて物を思ふころかな
後撰集・秋
秋霧の たちのの駒を ひく時は 心にのりて 君ぞこひしき
後撰集・冬
もみぢ葉は をしき錦と 見しかども 時雨とともに ふりてでぞこし
後撰集・恋
人を見て 思ふおもひも あるものを そらにこふるぞ はかなかりける
後撰集・恋
隠れ沼に 忍びわびぬる 我が身かな 井出のかはづと なりやしなまし
後撰集・恋
いつしかの音になきかへり来しかども野邊の浅茅は色づきにけり
後撰集・恋
ひきまゆのかくふたこもりせまほしみくはこきたれて泣くを見せばや
後撰集・恋
君が名の立つに咎なき身なりせばおほよそ人になしてみましや
拾遺集・神楽歌
めづらしき けふの春日の やをとめを 神もうれしと しのばざらめや
拾遺集・恋
君が名の 立つに咎なき 身なりせば おほよそ人に なして見ましや
拾遺集・恋
いその神 ふりにし恋の 神さびて たたるに我は ねぎぞかねつる
拾遺集・雑春
鴬のなきつるなべに春日野のけふのみゆきを花とこそ見れ
拾遺集・雑春
ふるさとに咲くとわびつるさくら花ことしぞ君に見えぬべらなる
拾遺集・雑春
春霞かすがののべに立ちわたりみちても見ゆるみやこ人かな