おくのほそ道

末の松山・塩竃

 それより野田の玉川・沖の石を尋ぬ
末の松山は 寺を造て末松山といふ
松のあひあひ 皆墓はらにて はねをかはし枝をつらぬる契りの末も 終にはかくのごときと 悲しさも増りて 塩がまの浦に入相のかねを聞
五月雨の空聊かはれて 夕月夜幽に 籬が島もほど近し
蜑の小舟こぎつれて 肴わかつ声々に つなでかなしも とよみけん心もしられて いとゞ哀也
其夜 目盲法師の 琵琶をならして 奥上るりと云うふものをかたる
平家にもあらず 舞にもあらず ひなびたる調子うち上て 枕ちかうかしましけれど さすがに辺土の遺風忘れざるものから 殊勝に覚らる
 早朝 塩がまの明神に詣
国守再興せられて 宮柱ふとしく 彩椽きらびやかに 石の階九仭に重り 朝日あけの玉がきをかゞやかす
かゝる道の果 塵土の境まで 神霊あらたにましますこそ吾国の風俗なれと いと貴けれ
神前に古き宝燈有 かねの戸びらの面に 文治三年和泉三郎寄進 と有
五百年来の俤 今目の前にうかびて そゞろに珍し
かれは勇義忠孝の士也 佳命今に至りてしたはずといふ事なし
誠に 人能道を勤 義を守べし 名もまた是に従ふ と云り
日既に午にちかし 船をかりて松島にわたる
其間二里余 雄島の磯につく


芭蕉 素堂 其角 杉風 嵐雪 丈草 許六 去来 支考 凡兆 北枝 野坡 越人 路通 荷兮 曾良 涼菟 土芳 千代女 也有 蕪村 召波 暁台 白雄 太祇 几董 青蘿 一茶
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