春浅き凌雲閣に上りけり 万太郎
茂吉
観音の高きいらかの北がはは雪ははつかに消え残りけり
茂吉
浅草のきさらぎ寒きゆふまぐれ石燈籠にねむるとりあり
仲見世や櫛簪に春近し かな女
浅草の鰻をたべて暑かりし 亞浪
仲見世や時雨降り出でし最合傘 淡路女
浅草の塔がみえねば枯野かな 万太郎
観音は近づきやすし除夜詣 虚子
仲見世で買ひきしものやさ櫻漬 万太郎
茂吉
少し前参道とほり浅草の人ごみのなかに時移りゆく
仲見世に来て大年の月を得し みどり女
観音様のお水屋に売る注連飾 みどり女
浅草の寒晴るるよるの空あはれ 蛇笏
浅草は地の金泥に寒夜かな 蛇笏
浅草や朝けに弥陀の龕燈る 蛇笏
仲見世の日覆の浅き扇店 風生
大扉今しまりけり除夜詣 虚子
浅草や冬霧胸にあふれくる 波郷
仲見世にすでに片蔭できてゐる 万太郎
風花や午やや過ぎし観世音 楸邨