雁来紅丈けの揃はぬ風情かな 淡路女
葉鶏頭家鴨の水に映りたる 悌二郎
傾いた軒端に雁来紅植えて 山頭火
葉鶏頭遅速もなくて日和かな 蛇笏
白雲は乱礁の浪や雁来紅 水巴
かまつかの唐紅の別れ蚊帳 たかし
かまつかを庭の面に作りけり 夜半
葉鶏頭に法衣の袖がふれるなど 山頭火
たたみにかげはひとりで生えた葉鶏頭 山頭火
刀豆の棚の中にも葉鶏頭 たかし
葉鶏頭林をなして燃え尽す 花蓑
案内せるどれが主人か葉鶏頭 立子
遠き家の朝な夕なや葉鶏頭 たかし
しんしんと夜はかまつかの燃ゆるなり 鷹女
かまつかはも少し燃えよ吾子かへる 貞
八一
かまづかは たけにあまれり わがまきて きのふのごとく おもほゆるまに
八一
むらさきは あけにもゆるを きにもゆる みどりはさびし かまづかのはな
八一
かまづかの あけのひとむら ゑがかむと われたちむかふ ふでもゆららに
八一
かまづかは あけにもゆるを ひたすらに すみもてかきつ わがこころから
八一
すみもちて かけるかまづか うつせみの わがひたひがみ にるといはずやも
戦死報着けりかまつか燃ゆるへに 鷹女
寡婦となりし瞳をかまつかに注ぎゐる 鷹女
遺児の身丈雁来紅の間をあゆみ 鷹女
鵙高音雁来紅は黄をのこす 鷹女
黄に赤に思ひ他ならぬ雁来紅 友二
葉けいとういつまで燃えてとり残す 貞
宿とるや障子の外の葉鶏頭 立子
かまつかは燃え急ぎ吾は縫ひ急ぐ 鷹女
かまつかの四隣あくたの如し忌む 鷹女
葉鶏頭死なざりし顔見られをり 波郷
葉鶏頭月出で四五歩宙にあり 楸邨
かまつかの一本が守る勝手口 たかし
鹹き砂雁来紅の色を埋め 静塔
雁来紅一人となればたちつくし 真砂女
葉鶏頭食い荒したる日傾く 三鬼
あるじ振り先づ千本の葉鶏頭 汀女
訪へば友の裸が若し葉鶏頭 波郷
透きて妖し月下の門の雁来紅 悌二郎
瞋るときありて朝日の葉鶏頭 悌二郎
葉鶏頭われら貧しき者ら病む 波郷
雁来紅昔の沼の景消えて 悌二郎