宵はいつも秋にかつ気をむしの声 鬼貫
行水の捨どころなきむしのこゑ 鬼貫
人呼びにやるも夜更つむしの声 鬼貫
虫のねの掃れて遠し寺の庭 也有
茨野や夜はうつくしき虫の声 蕪村
蟲啼や河内通ひの小提灯 蕪村
明はなし寐た夜つもりぬ虫の声 太祇
暁の籠をぬけけんむしの声 太祇
艸の庵籠ぬけの虫をやどしける 白雄
虫の声艸のふところはなれたり 几董
吹降や家陰たよりて虫の声 一茶
虫鳴くや表町は夜も人通り 一茶
虫の尻を指して笑ひ仏哉 一茶
良寛
我が待ちし秋は来ぬらしこの夕べ草むら毎に蟲の聲する
良寛
ともしびのきえていづこに行くやらん草むら毎に蟲のこゑする
良寛
我が庵は君が裏畑夕さればまがきのすだく蟲のこゑごゑ