帯にふれて蓼冷かにゆれにけり みどり女
太子河に馬車駆る道の蓼さかり 野風呂
しづけさにたたかふ蟹や蓼の花 波郷
掌にうけて蓼の長穂の柔かし 風生
蓼の花畚にかぶせて萎れざる 風生
桑かげにさやかに蓼の咲きにけり 蛇笏
考へに足とられ居し蓼の花 しづの女
網かけて蓼の折れ伏す川貧し 秋櫻子
子の投げし石は河原の蓼に落つ 立子
蓼あかしつめたき吾子の手をひける 悌二郎
大溝の名残こゝにも蓼の花 万太郎
蓼の花豊の落穂のかかりたる 素十
食べてゐる牛の口より蓼の花 素十
はり下駄の踵逃げずや蓼の花 友二
うつむきて歩く心や蓼の花 波郷
蓼の花さらにすずしく月夜風 槐太
湖波の畔にたたみて蓼涵る 蛇笏
蓼の花小諸の径を斯く行かな 虚子
蓼紅しそよぎて父母は遙かな 波郷
内湖の細江になりて蓼の花 虚子
花淡く茎のかがよふ雨の蓼 蛇笏