汽車とまり遠き雪嶺とまりたり
汽車煙雪嶺にちかくかざし寄る
血潮濃き水にしなほも鰤洗ふ
雪嶺の二月南方戦果に満つ
梅見よや生きむとしたる敵降る
梅に祝ぎ清き渚を出でて踏む
春昼の踏切君と並び越ゆ
病快しかげろふ砂を手に握る
海東風に髪逆立てて虚しさよ
春の浪舸子楫取はみな立てり
双眼にあまる干潟の浪の畝
大干潟茂吉の歌集読み暮す
昼深き干潟見て来て臥を継ぐも
息長き汽笛を干潟に吹き走る
敵射てば干潟大いに現るる
大干潟なせり一天射ちまくる
敵を射つ勢北勢南みな干潟
春燈を嚢み敵愾んほやまず
炉塞ぎて小暗き時をなほ刻む
受験生汝も一発必中成る
花の雲辺土に神となり給ひ
芽ぐむ樹や石や戦果を刻むべし
勢北に栖みて入海松の花
この町を愛せば駅の土堤青む