和歌と俳句

山口誓子

七曜

汽車とまり遠き雪嶺とまりたり

汽車煙雪嶺にちかくかざし寄る

血潮濃き水にしなほも鰤洗ふ

雪嶺の二月南方戦果に満つ

見よや生きむとしたる敵降る

に祝ぎ清き渚を出でて踏む

春昼の踏切君と並び越ゆ

病快しかげろふ砂を手に握る

海東風に髪逆立てて虚しさよ

春の浪舸子楫取はみな立てり

双眼にあまる干潟の浪の畝

大干潟茂吉の歌集読み暮す

昼深き干潟見て来て臥を継ぐも

息長き汽笛を干潟に吹き走る

敵射てば干潟大いに現るる

大干潟なせり一天射ちまくる

敵を射つ勢北勢南みな干潟

春燈を嚢み敵愾んほやまず

炉塞ぎて小暗き時をなほ刻む

受験生汝も一発必中成る

花の雲辺土に神となり給ひ

芽ぐむ樹や石や戦果を刻むべし

勢北に栖みて入海松の花

この町を愛せば駅の土堤青む