元日の酔詫に来る二月哉 几董
梅壇のほろほろ落る二月かな 子規
川添ひの片頬つめたき二月かな 虚子
法堂や二月厳しき松の幹 水巴
黒うなつて茨の実落つる二月かな 鬼城
牧水
菜の花のにほひほのかに身にも浸む二月の日とはなりにけるかな
晶子
あかしやに柔き芽をはこび来る二月の雨の白き足もと
墓山の松に二月の野風かな 橙黄子
切株に鶯とまる二月かな 石鼎
二月の籠鶯の緋総かな 石鼎
二月や藁ほどけたる大蘇鉄 石鼎
二月や峰争うて雲の下 石鼎
二月や鹿よごれたつ水のはた 石鼎
眠れねば香きく風の二月かな 水巴
面体をつつめど二月役者かな 普羅
一と山の煤の流るる二月かな 普羅
苔つけし松横はる二月かな 普羅
鶯の囮につきし二月かな 月二郎
重患にかかはり暮れし二月かな 播水
葉牡丹の火むら冷めたる二月かな たかし
筆つくるよすぎ静かや梅二月 麦南