眼ざましにみる背戸ながら今朝の露
木戸しめて明る夜惜むおどり哉
船よせて見れば柳のちる日かな
たま祭持仏に残す阿弥陀かな
君こねばあぶら灯うすし初嵐
めでたくも作り出けり芋の丈
浦風に蟹もきにけり芋畠
よひやみや門に稚き踊声
夜の間の露ゆりすふる広葉哉
吹倒す起す吹るゝ案山子かな
片足は踏とゞまるやきりぎりす
はつ鴈や夜は目の行ものゝ隅
さはがしき露の栖やくつわ虫
脱すてゝ角力になりぬ草の上
鬼灯や物うちかこつ口のうち
はつ雁やこゝろつもりの下リ所
鉢の子ににえたつ粥や今年米
猪の庭ふむ音や木の実ふる
待霄やくるゝにはやき家の奥
手折てははなはだ長し女郎花
稲妻の無き日は空のなつかしき
いなづまのこもりてみゆれ草の原
もるゝ香や蘭も覆の紙一重
芋の露野守の鏡何ならん
いなづまや雨雲わかるやみのそら