和歌と俳句

畑打ち

畑打や草の戸つづく内裏跡 子規

山一つこえて畑打つ翁かな 子規

松一木獨り畑打つ男かな 虚子

家ありや木曽の谷間に畑打つ 虚子

ものいはず夫婦畑うつ麓かな 子規

日一日同じ処に畠打つ 子規

畑打の王莽が銭掘り出しぬ 子規

飯食ふてねむがる男畠打つ 漱石

難波女や軍になれて畑打つ 虚子

雲無心南山の下畑打つ 子規

八時の広き畑打つ一人かな 漱石

子規
遠近に菜の花咲きて朝日さす榛の木がくれ人畑を打つ

海を見て十歩にたらぬ畑を打つ 漱石

畑打の四五人よりし昼餉かな 碧梧桐

打つ畠に小鳥の影の屡す 漱石

兵村の歌うたひけり畑打 碧梧桐

畑打つて藤一棚も培ひぬ 碧梧桐

千樫
山かげに畑打つ人に心うごき都かなしく吾なりにけり

畑打や代々につたへて畠の墓 蛇笏

畑打のよき馬持ちて踏ませけり 鬼城