雛の朝粒見せて霧流れけり 林火
男手に館そびえしめ雛かざり 爽雨
雛壇の玉階いまだ踏まれざる 爽雨
外は雪の雛のしづけさうべなひつ 爽雨
花びらのつらなる雛の桃挿され 青畝
世直りて草の庵の雛祭り 虚子
金星菱形伏目の雛を祭れよと 鷹女
雛の前今誰もゐず坐り見る 立子
菜の花の黄色もまじへけり雛あられ 万太郎
手にうけて雪よりかるし雛あられ 万太郎
雛あられねもごろつつみくれしかな 万太郎
立雛の衣手藤の匂ふなり 秋櫻子
逗留も月を超えたる雛料理 風生
雛納め何か淋しく母を訪ふ 立子
汀女、たま、信子、雛の句詠めりけり 万太郎
うす月のゆめほのめくや宵節句 万太郎
黒髪に戻る染め髪ひな祭 三鬼
手渡しに子の手こぼるる雛あられ 汀女
竹の枷一文字なり波の雛 青畝
二十六聖人の如波の雛 青畝
雛の夜の雛の料理や金田中 万太郎
立雛の面輪匂ひて眉目あり 秋櫻子
紙雛をことりと祭る海女もがな 不死男
大門をひらきて今日の雛の宿 立子
青丹よし奈良の都の墨雛 青畝