元旦の餅を焦せしあろじかな 草城
元旦や古色めでたき庵の妻 草城
元朝や去年の火残る置炬燵 草城
歳旦や芭蕉たたへて山籠り 蛇笏
元朝の日がさす縁をふみありく 亜浪
元旦の捨犬が鳴きやめない 山頭火
元朝や枇杷を潜りて牛を飼ふ 石鼎
元朝や阿弥陀をろがむ主にて 喜舟
草へ元旦の馬を放していつた 山頭火
元朝のさゝなきしばししてやみぬ 石鼎
元旦やいつもの道を母の家 立子
元旦のよそほひに坐し炭をつぐ 貞
元旦の枯枝へまづ四十雀 石鼎
元旦や束の間起き出で結び髪 久女
元旦の埠頭に瀬戸の舟つけり 久女
白秋
父母に 寿詞まうさく 歳の旦 仰ぎまみえむ 視力早や無し
元旦や遠き島より来し便り 占魚
千代田城松みどりなる大旦 蛇笏
祝聖の灯に靄だちて大旦 蛇笏
元朝の吹かれては寄る雀二羽 知世子
元旦の歯をていねいにみがきけり 草城
元旦の汽罐車とまり大きな黒 楸邨
元旦の爪だつ素足見てさめき 楸邨
元朝や座右の銘は母の言 虚子
元朝やただ大天と枯れ野原 石鼎
元旦の焜炉をあほぎはじめけり 草城