浴衣着てひとりの涼や真暗がり 汀女
藍冴ゆる浴衣をしやんと小女房 草城
藍浴衣着て白き手を膝の上 草城
藍浴衣着るとき肌にうつりけり 草城
わが浴衣われの如くに乾きをり 虚子
生き堪へて身に沁むばかり藍浴衣 多佳子
僧俗のまじりくつろぐ浴衣かな 虚子
落葉松のあかとき露に浴衣人 たかし
何事も古りにけるかな古浴衣 虚子
見る人は如何にありとも古浴衣 虚子
海光や白き浴衣は妻ならめ 源義
藍浴衣いまより後も夫は亡し 誓子
考ふる胸もと暗き藍浴衣 誓子
旅鞄開けて著なれし古浴衣 虚子
浴衣著てわれも仏と山寺に 虚子
山の日に乾き吹かるる浴衣かな 虚子
亡き友恋へばひしと恋しや糊浴衣 波郷
昼浴衣地獄げむりを身に纏きて 多佳子
長生きのできるわけなき浴衣かな 万太郎
糊つよき浴衣しゃっくりいつとまる 不死男
着て臥せば病衣なりけり鉾浴衣 波郷
父思ふ縞の浴衣はなど悲し 汀女