卯の花山倶利伽羅が谷をこえて 金沢は七月中の五日也 爰に大坂よりかよふ商人何処と云者有 それが旅宿をともにす 一笑と云ものは 此道に好ける名のほのぼの聞えて 世に知人も侍しに 去年の冬早世したりとて 其兄追善を催すに 塚も動け我泣声は秋の風 ある草庵にいざなはれて 秋涼し手毎にむけや瓜茄子 途中吟 あかあかと日はつれなくもあきの風 小松と云所にて しほらしき名や小松吹萩薄