心許なき日数重るままに 白河の関にかかりて旅心定りぬ いかで都へ と便り求めしもことわりなり 中にもこの関は三関の一にして 風騒の人 心をとどむ 秋風を耳に残し 紅葉を俤にして 青葉の梢猶あはれなり 卯の花の白妙に 茨の花の咲添ひて 雪にも越ゆる心地ぞする 古人冠を正し衣装を改し事など 清輔の筆にもとどめ置れしとぞ 卯の花をかざしに関の晴着かな 曾良