和歌と俳句

淀川

古今集・恋 よみ人しらず
淀川のよどむと人は見るらめど 流れてふかき心あるものを

兼盛
ふしづけし淀の渡を今朝見ればとけん期もなく氷しにけり

好忠
朝なぎに棹さす淀の川をさも心解けては春ぞみなるる

匡房
真菰かる淀の澤水ふかけれどそこまで月のかげはすみけり

匡房
みやこをば秋とともにぞたちそめし淀の河霧いくよ隔てつ

清正
ゆく人も かへるも見ゆる 淀川は 波の心も いとなかるらむ

良経
綱手ひく たけの下みち 霧こめて 舟路にまよふ 淀の川岸


鬼貫
淀川にすがた重たや水車

蕪村
みじか夜伏見の戸ぼそ淀の窓

蕪村
淀舟の竿の雫もほたるかな


子規
春風や淀川下る琵琶法師

子規
淀川の大三日月や時鳥

子規
初雪の中を淀川流れけり

子規
淀川の堤を上る舟引の足もななめに春雨のふる

草城
大淀や水の光も小六月