枯瓢蚤か茶臼をおふこゝろ
菊にはなれかたはら寒し水仙花
くだら野や無なるところを手向草
像に声あれくち葉の中に帰り花
時雨の身はいは ゞ髭なき宗祇かな
生てあるおもて見せけり葛のしも
七草よ根さへかれめや冬ごもり
歎とて瓠ぞ残る垣の霜
滋賀の花湖の水それながら
朝霧や嘸朝寐にて柴の庵
草と見て開くふようの命かな
ちからなく菊につ ゝまるばせをかな
伊勢船を招く新樹の透間哉
此名残古郷も遠し時鳥
しぼミても命長しや菊の底
ずつしりと南瓜落て暮淋し
釣上よ蓮のうき葉を藤のつる
枯にけり芭蕉を學ぶ葉廣草
長雨の空吹出せ青嵐
枇杷黄也空ハあやめの花曇り
涅槃会や花も涙をそ ゝぐやと
木の間ゆくかづきにちらし櫻かな
茸狩やひとつ見付しやみのほし
雲半山石をのこしてもみぢけり