牧水
雲ふたつ 合はむとしては また遠く 分れて消えぬ 春の青ぞら
春天や影を流して軽気球 花蓑
骨壷をいだいて春の天が下 茅舎
春天に鳩をあげたる伽藍かな 茅舎
日輪をかくして春の空ひろし かな女
雨晴れておほどかなるや春の空 虚子
踵かへして海をそがひや春の空 石鼎
藁屋根に春空青くそひ下る 虚子
枯枝のむすぼれほぐれ春の空 虚子
瑠璃たたみ珊瑚鏤め春の空 虚子
日は宙に春の天壇ねむるさま 蛇笏
鐘樓より蜂は大嶺へ春の空 蛇笏
春の空日の輪いくつも色となり みどり女
此処からも大佛見ゆる春の空 立子
鴎の目鋭きかなや春の空 虚子
腰形尼服春空にて乾く 静塔
春の空人仰ぎゐる我も見る 虚子
春の空人仰ぎゐる何も無し 虚子
春の天おほどかにしてやや曇る 虚子
春の空笠の如くにかぶさりぬ 虚子
考のつまづき仰ぐ春の空 立子
ま横より仰ぐ大佛春の空 立子