何喰て居るかもしらじかんこ鳥
金掘る山もと遠しかんこどり
親もなく子もなき声やかんこ鳥
我捨しふくべが啼か閑居鳥
かんことり木の股よりや生れけん
更衣布子の恩のおもさかな
廿五の暁起やころもがへ
羽色も鼠に染めつかんこ鳥
衣がへ人も五尺のからだかな
三軒家大坂人のかやり哉
鞘走る友切丸やほととぎす
牡丹散て打かさなりぬ二三片
閻王の口や牡丹を吐かんとす
蚊屋を出て内に居ぬ身の夜は明ぬ
短夜の夜の間に咲るぼたん哉
みじか夜や毛むしの上に露の玉
さみだれのうつほ柱や老が耳
かしこくも茶店出しけり夏木立
動く葉もなくておそろし夏木立
五月雨や美豆の寐覚の小家がち
誰住みて樒流るる鵜川哉
しののめや鵜をのがれたる魚浅し
夕顔の花噛む猫や余所ごころ
日がへりに兀山越るあつさかな