鵲やこちらの橋は水の音
こちらからいはせてばかり魂まつり
魂たなは水の味さへかほりけり
萩の声のこるあつさを隙て居る
朝の間はかたついて居る残暑哉
いなづまや袖とらへたが袖でなし
稲妻と東ながめてをりにけり
稲妻に裾をぬらすや石の上
あさがほやその日に逢ふて仕舞けり
あさがほやまだ灯火の薄明り
牽牛花やをのが蔓かと蔦に咲
朝がほに釣瓶とられてもらひ水
朝がほや宵に残りし針しごと
朝顔は蜘蛛の糸にも咲にけり
朝顔やその日の事を早仕廻
朝顔や宵から見ゆる花のかず
二つ三つ十とつもらぬむくげ哉
長き夜やかはりかはりに虫の声
下冷えを咲あたためよ道の草
やや寒し瓢の音のかたまりぬ
いざ帰らむうき名に滝もうそ寒し
身あがりにひとりねざめの夜寒哉
みみたててうさぎもなにと秋の暮
九重も一重に見るや秋のくれ
温泉の山や秋の夕べは余所の事