山は虹いまだに湖水は野分哉
ひとりなは我星ならん天川
鴫どもも立尽したり木なし山
洪水の尺とる門よ秋の風
助舟に親子をちあふて星むかひ
人去て行灯きえて桐一葉
朝顔やしたたかぬれし通り雨
我星はどこに旅寐や天の川
寐聳てふんぞりかへつて星迎
一本の鶏頭ぶつつり折にけり
日の暮やひとの皃より秋の風
よりかかる度に冷つく柱哉
川西の古郷も見えて朝寒み
秋の夜の独身長屋むつましき
さし汐や茄子の馬の流れよる
松陰にをどらぬ人の白さ哉
馬の子の故郷はなるる秋の雨
秋雨やともしびうつる膝頭
秋の風親なき我を吹そぶり
手招きは人の父也秋の暮
夕月のけばけばしさを秋の風
日の暮の背中淋しき紅葉哉
手の前に蝶の息つぐ茸哉
灯ちらちらどの皃つきも夜寒哉
秋立や身はならはしのよ所の窓