さぼてんにどうだと下る糸瓜哉
我菊や形にもふりにもかまはずに
鶏頭が立往生をしたりけり
小むしろや粉にまぶれし蛬
寝返りをするぞそこのけ蛬
名月や芒に坐とる居酒呑
名月や箕ではかり込御さい銭
ふしぎ也生れた家でけふの月
大声に夜寒かたるや垣越に
卅日銭がらつく笊の夜寒哉
茹栗や胡坐巧者なちいさい子
秋風や鶏なく家のてつぺんに
昼飯をぶらさげて居るかがし哉
山雰の足にからまる日暮哉
女郎花あつけらこんと立りけり
蛬尿瓶のおともほそる夜ぞ
垣外へ屁を捨に出る夜寒哉
くやしくも熟柿仲間の坐につきぬ
肌寒やむさしの国は六十里
息才で御目にかかるぞ艸の露
みぞ川をおぶさつてとぶいなご哉
秋風や戸を明残すうら座敷
此上に貧乏まねくな花芒
御祭の赤い出立の蜻蛉哉