和歌と俳句

小林一茶

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こほろぎのとぶや唐箕のほこり先

鍬さげて神農顔やきくの花

はつ雁も泊るや恋の軽井沢

秋風や磁石にあてる古郷山

首出して稲付馬の通りけり

蟷螂や五分の魂見よ見よと

山雀の輪抜しながら渡りけり

秋風やむしりたがりし赤い花

身を売れても鳴にけり

ぼんの凹から冷しけり天の川

稲妻に並ぶやどれも五十顔

歯ぎしみの拍子とる也きりぎりす

子宝の多い在所や夕ぎぬた

頬げたを切さげられな鵙の声

仰のけに落ちて鳴けり秋のせみ

銭箱の穴より出たりきりぎりす

朝寒や垣の茶笊の影法師

や我うしろにもうつけ人

遠山が目玉にうつるとんぼ

古郷や近よる人を切る

いくばくの人の油よ稲の花

我味の柘榴に這はす虱かな

鬼灯の口つきを姉が指南哉

踊から直に朝草かりにけり

門の月暑がへれば友もへる