嵐雪逢坂は関の跡なり花の雲
許六逢坂や牛の骨折る春の雨
許六杖の間の逢坂山やせみの声
許六逢坂の先ぬるゝほど時雨けり
支考逢坂で聞ばや駒の轡虫
一茶春風や逢坂越る女講
一葉よそにきく逢坂山ぞうらめしきわれは雲居のとほき隔てを
茂吉春逝きし逢坂山の白き路きのふもけふもひたに乾ける
茂吉ひるがへる萌黄わか葉や逝春のひかりかなしき逢坂を越ゆ
茂吉逢坂をわが越えくれば笹の葉も虎杖もしろく塵かむり居り
茂吉あふさかの関の清水ははしり出の水さへもなし砂ぞかわける