和歌と俳句

眞野

万葉集・巻第四・相聞 吹?刀自
真野之浦乃 与騰乃継橋 情由毛 思哉妹之 伊目尓之所見

真野の浦の よどの継橋 こころゆも 思へか妹が いめにし見ゆる

師頼
ふたばより あさたつ鹿は しがらめど 真野のむら 花咲きにけり

隆源
にしきのや ひもとく花と みゆるかな 乱れて咲ける 真野の萩原

祐子内親王家紀伊
おくつゆも しづごころなく あきかぜに みだれてさける 真野の萩原

俊頼
春来ぬと 聞きだにあへぬ 明け暮れに 霞にむせぶ 眞野の萩原

金葉集 俊頼
鶉なく 真野の入江の 浜風に 尾花なみよる 秋の夕ぐれ

俊頼
せきりせし 眞野のなからは こほりゐて いくひに波の こゑ絶えにけり

俊頼
眞野の池に こほりしぬれば 葦間なる 橋もたづねて 島つたひしつ

俊頼
夜もすがら 眞野の萱原 冴え冴えて 池のみぎはも こほりしにけり

崇徳院
道もせに 誰がおりしける 錦めも えぞ知らずげの 眞野の萩原

教長
雪深き 真野の茅原 むすぼれて 吹くとも風に なびかざりけり

俊恵
月影を 雪かと見れば しらすげの 真野の萩原 枝もたわまず

俊成
露むすぶ 真野のこすげの 菅枕 かはしてもなぞ 袖ぬらすらむ

俊成
ことわりや 眞野の入江に 鳴く千鳥 うらかぜ寒き 有明の空

寂蓮
五月雨に 御津の浜松 波かけて こずゑに残る 真野の浦風

鴨長明
蘆の葉に すだく螢の ほのぼのと たどりぞわぶる 真野の浮橋

定家
秋はただ 入江ばかりの ゆふべかは 月まつ空の 眞野のうら浪

良経
眞野のうらの 入江は霧の うちにして 尾花がすゑに 残る白波

良経
眞野の浦 なみまの月を 氷にて 尾花がすゑに 残る秋風

良経
昔これ 誰がすみかとも 白菅の 眞野のはぎはら 秋は忘れず

良経
乱れ葦の 穂むけの風の かたよりに 秋をぞ見する 眞野の浦浪

良経
わが恋は まだ知る人も 白菅の 眞野の萩原 つゆももらすな

雅経
霜こほる 尾花がすゑも 波のおとも むすぼほれたる 真野のうらかぜ

雅経
みだれあへず かかる露おく ものぞとは まだしらすげの 真野の萱原