和歌と俳句

鏡山

滋賀県蒲生・野洲・甲賀の三郡にまたがる山。

是則
花の色をうつしとどめよ鏡山春よりのちの影や見ゆると

古今集・雑歌 よみ人しらず
鏡山いざたち寄りて見てゆかん 年へぬる身は老いやしぬると

古今集・神遊びのうた 大伴くろぬし
近江のや鏡の山をたてたればかねてぞ見ゆる 君が千歳は

後撰集・秋 素性法師
鏡山山かきくもりしぐるれど紅葉あかくぞ秋は見えける

後撰集・秋 貫之
うち群れていざ吾妹子が鏡山越えて紅葉の散らむ影見む


ちりもなき鏡の山にいとどしくよそにて見れどあかきもみぢば


名にしおへば曇らざりけり鏡山うへこそ夏のかげにみえけれ

兼盛
いにしへも 見ずやありけむ 鏡山 ゆくすゑとほき 豊のあかりは

兼盛
鏡山 山彦たかく 呼ばふなり よの栄ゆべき 影ぞ見ゆらむ

拾遺集・神楽歌 能宣
みがきける心もしるく鏡山くもりなき世にあふが楽しさ

拾遺集・神楽歌 中務
万代をあきらけく見む鏡山ちとせのほどはちりもくもらじ

後拾遺集・羇旅 恵慶
鏡山こゆる今日しも春雨のかきくもりやは降るべかりける

顕季
散り積もる 鏡の山の さくら花 おもかげにこそ 夜も見えけれ

俊頼
ほとときす なくねのかげし うつらねば 鏡の山も かひなかりけり

俊頼
光をば さしかはしてや 鏡山 みねより夏の 月はいづらむ

俊頼
降り散らす 時雨にたへて 鏡山 かげ見るばかり 紅葉しにけり

顕輔
日にそへて あかくぞ見ゆる 鏡山 紅葉の色や 深くなるらむ

金葉集・秋 祐子内親王家紀伊
かがみやま峰より出づる月なれば曇る夜もなき影をこそみれ

親隆
鏡山 光は花の 見せければ 散り積もりてぞ 久しかりける

新古今集・賀 宮内卿永範
くもりなき鏡の山の月を見て明らけき世を空に知るかな

俊成
うれしくも鏡の山をたてをきて曇なきよの影をみるかな

千載集・春 藤原親隆
鏡山ひかりは花の見せければちりつみてこそさびしかりけれ

定家
鏡山みがきそへたる玉椿かげもくもらぬ春の空かな

定家
さざ波やちりもくもらずみがかれて鏡の山をいづるつきかげ

定家
鏡山夜わたる月もみがかれてあくれどこほるしがのうら波

定家
かがみ山うつれるなみのかげながら空さへこほる有明のつき


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