身に入みて身の上話花火の夜 虚子
ねむりても旅の花火の胸にひらく 林火
日々を愚に花火大輪身にかぶる 静塔
遠花火寂寥水のごとくなり 風生
昼花火雲をのこして消えにけり 万太郎
せめぎ合ふ火の輪となりし花火かな 万太郎
赤くあがり青くひらきし花火かな 万太郎
れうらんの花火となりて了りけり 万太郎
ひらくとき一時にひらく花火かな 万太郎
待ち待ちしただ二時間の花火の夜 誓子
横向きの三日月ツツと花火揚がる 三鬼
雨いまだ遠き花火を消すに足らぬ 節子
遠き闇終の花火と知らで待つ 節子
暗く暑く大群集と花火待つ 三鬼
群集のためよろよろと花火昇る 三鬼
われとわがけむりの中や花火舟 万太郎
家々の窓は子のもの花火の夜 爽雨
花火咲く大圓雲につかへつつ 爽雨
花火見る袖のうるほふ園の闇 蛇笏
空に月のこして花火了りけり 万太郎
遠花火この家を出でし姉妹 青畝
日本橋室町鮒佐花火の夜 万太郎
熱帯魚藻に身じろがず遠花火 万太郎
雨やみをする間もあがる花火かな 万太郎
月の下花火瓔珞ぶらさがる 誓子
童話読むことも看とりや遠花火 貞
ふと闇の花火に反く艪のきしり 汀女
火の道のばらばらに解け揚花火 誓子
黒き川花火の夜を流れずに 静塔
読本に隠されし顔遠花火 静塔
虚しさの花火に誘ひ誘はるる 悌二郎
患者らの横臥すままの遠花火 波郷
遠花火二つ三つ見て寝返りぬ 波郷