和歌と俳句

鳳仙花 ほうせんか つまくれない

地震あとの瓦礫の土や鳳仙花 喜舟

降りやまぬ雨につぶらや鳳仙花 石鼎

恙癒えし人にあかるし鳳仙花 石鼎

夏やすみすぎしこころや鳳仙花 秋櫻子

萎れたるつまくれなゐの枕花 月二郎

チヨツピリと駄菓子ならべて鳳仙花 山頭火

鳳仙花昨日の如く散りてあり 普羅

朝晩は涼しくなりぬ鳳仙花 風生

種弾く大事起りぬ鳳仙花 喜舟

たくましく長けてあはれや鳳仙花 万太郎

坑口から出てきてつまぐりの咲いてゐる家 山頭火

たくましく長けしあはれや鳳仙花 万太郎

爪紅が咲きぬその花の眼をさそふ 秋櫻子

夜は夜の客親しさよ鳳仙花 汀女

服しろき面影のこれ鳳仙花 秋櫻子

鳳仙花露の香あまく日に濡れぬ 麦南

洋が咲かせし無人の磯の鳳仙花 草田男

古本屋素人に出来鳳仙花 万太郎

沓脱のあちこちにある鳳仙花 虚子

干浴衣直ぐ乾きけり鳳仙花 虚子

干してあるゆかたの派手に鳳仙花 万太郎

よく掃きし土の乾きや鳳仙花 万太郎

鰺の鮨つくりなれつつ鳳仙花 秋櫻子

顔の眼は頭の眼なり鳳仙花 耕衣