加舎白雄
鰒の声砂にまぶれて弱りけり
鰒汁やおもひおもひの八仙歌
酒桶にちどり舞入嵐かな
鴛鴦啼や一節截吹やせ男
あと先に雀飛びけり三十三才
くゞゐ鈍く鳰鳥はさとき汀かな
水鳥や江をうつ芦の下はしる
木兎の昼は見えずよ三輪の森
艸がれや風そらざまに脊戸の山
履につく霜の落葉や朝まだき
ふきいれし木の葉に琵琶のそら音かな
日に悲し落葉た ゞよふ汐ざかひ
夜の音木のは身を刺おもひあり
茶の花にたとへんものか寂栞
茶の花や誰が箒せし里の道
暁の山茶花白し落がはら
橙や蔵にそふ江の寒からず
組かけし塔むつかしや冬木立
冬川や蕪流れて暮かゝり
かへり花咲よしもなく咲にけり
畑中や種麦おろす麻ぶくろ