松の上の雪しづりそめ年来り 亞浪
星恋のまたひととせのはじめの夜 誓子
国敗れ人倦みて年新たなる 草城
耳の下疣かなしめば年立ちぬ 楸邨
茂吉
新しく めぐり来れる 年のむた わが若き友よ ひとしく立たな
新年のゆめなき夜をかさねけり 蛇笏
雲しきてとほめく雪嶺年新た 蛇笏
雪山を宙にひくめて年新た 蛇笏
年たつや駒嶽にはるけき釈迦の嶮 蛇笏
冴ゆる灯に新年夜情雪のこゑ 蛇笏
高原の年を新たに嶽を前 蛇笏
一輪の霜の薔薇より年明くる 秋櫻子
年明くとベッドに凭りて足袋はけり 波郷
渓流に雲こそあそべ年新た 蛇笏
年新た龕に灯す雪の屋 蛇笏
高台に林梢遠み年新た 蛇笏
新年を見る薔薇色の富士にのみ 三鬼
よべの月美しかりし年明けぬ 立子
新年の井にしお盛りて年行事 蛇笏
年新た美しく老い度く希ふ 立子
てのひらが年立つものの初めかな 楸邨
年改まることのさだかに松の風 林火