和歌と俳句

夏野

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山羊群れて水溜ある夏野かな 虚子

宮城野の夏野を飛べる鴉かな かな女

虎杖のバリバリ燃ゆる夏野かな かな女

夏野、犬が走れば人も走つて 山頭火

多摩川の河原の内の夏野かな たかし

しんかんたる夏野の呼吸正しけれ 三鬼

恵那山のふもとの夏野恵下と云ふ たかし

八ケ岳裾の夏野に雲むらがる 秋櫻子

駆くる野馬夏野の青にかくれなし 多佳子

夏草野砲車の車輪川渡る 多佳子

ただ一人夏野の墓のクルス立つ 青邨

沼ありて大江近き夏野かな 虚子

鵲も稀に飛ぶのみ大夏野 虚子

村よりも高きところの夏野かな 杞陽

累々たる夏野の堆土これ墳墓 楸邨

傘ひくく母の痩せたる夏野かな 信子

水臭き夏野の石に腰かけぬ 耕衣

夫が落す語を妻拾ひ夏野行く 草田男

高熱の魂は夏野にいざなはれ 源義

寄りゆけば寄り来夏野の牛と吾 多佳子

夏野来て都府楼礎石ただちなる 爽雨

岩の上の憩ひに夏野雨到る 爽雨