和歌と俳句

大井川

大井河名越のけふや蠅はらひ 言水

馬かたはしらじしぐれの大井川 芭蕉

さみだれの空吹おとせ大井川 芭蕉

大井川しづめて落るつばき哉 素堂

大井川の雫や石一つ 素堂

しよろしよろと常は流るる大井川 鬼貫

紙子きて渡る瀬もあり大井川 其角

日晴ては落花に雪の大井川 支考

大名に馴染の鮎や大井川 許六

聖霊とならで越けり大井川 許六

みじか夜や二尺落ゆく大井川 蕪村

みじか夜の闇より出て大井川 蕪村

さみだれの大井越たるかしこさよ 蕪村

大井川なりしづまりて鳴雲雀 一茶


晶子
水にねし 嵯峨の大堰の ひと夜神 絽蚊帳の裾の 歌ひめたまへ

晶子
大堰川 山は雄松の 紺青と うすき楓の ありあけ月夜

晶子
みじか夜や 嵯蛾の大堰の 山あひの 軽舸に吹かる くろ髪のすそ

漕ぎ乱す大堰の水や花見船 虚子

のしば鳴き飛ぶや大堰川 虚子

燕の高くとびかひ大堰川 立子

秋蠅もとびて大堰の屋形船 蛇笏

流扇の名残とどめよ大堰川 青畝