和歌と俳句

会津八一

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うつろひしつづれのほとけつかへきてやまはことしももみぢせるかも

こもりゐてほとけおりけむふたがみのやまのをかべのかりいほしおもほゆ

まちなかにあしたのかねのつきおこるきやうとにいねてあしのばしをり

たいがだうここにすみきとひとひらのいしぶみたちてこだちせるかも

きよみづのやねのひはだのまだらにもつゆをふくめるこけのいろかな

くわんおんののきのしとみにしろじろとものふりけらしひとのひびきに

こだちなきにはをきづきてしろすなにいはすゑけらしいにしへのひと

そとにはのまつにかげりていはむらをひたせるすなのたゆたふににつ

そとにはのかきのこずゑをうつさをのひびきもちかししろすなのうへに

あささむきてらのいたまをわたりきていしひえはてしえいだうのゆか

えいだうのあさのくらきにうちならぶむろまちどののそくたいのざう

ふるてらのながきいたまをひたすらにわがおもひこしたかうぢのかほ

たかうぢのざうみていづるえいだうののきにはるけきあきのそらかな

あないじやのけうときすがためにありてしづこころなきぎんかくのには

むかしきてかたりしそうのおもかげのしろきふすまをさりがてぬかも

ともとわがおりたつてらのにはのへにせまりてあおきたかまどのやま

ひむがしのやまべをけづりやまをさへしぬぎてたてしこれのおほてら

いくとせのひとのちからをささげこしおほきほとけはあふぐべきかな

うちあふぐのきのくまわのさしひぢきまそほはだらにはるびさしたり

あまぎらすみてらのいらかあさにけにをちかたびとのかすみとやみむ

ひさしくもつかざるかねをおしなでてこもれるひびききかずしもあらず

ひさしくもつかざるかねははるのひにぬくもりてありねむれるがごと

さをしかのみみのわかげにきこえこぬかねをひさしみこひつつかならむ

いこまねをそがひにみつつめぐりこしむぎのなかなるひとすぢのみち

ふるみやのをかべにたてばいくとせのはるびさしたりそのくさのねに

すめろぎはここにいましてひむがしのおほきみてらをみそなはしけむ

かれくさにわかくさまじりみだれふすおほみやどころふめばくやしも