見帰れば寒し日暮の山桜 来山
草履の尻折てかへらん山櫻 芭蕉
やまざくら瓦ふくもの先ふたつ 芭蕉
うらやましうき世の北の山櫻 芭蕉
小坊主や松にかくれて山ざくら 其角
饅頭で人をたづねよ山ざくら 其角
鳶の輪の崩れて入るや山櫻 丈草
日よりよし牛は野に寝て山ざくら 鬼貫
谷水や石も哥よむ山ざくら 鬼貫
ふか入のした日の脚や山桜 千代女
眼をふさぐ道もわすれて山さくら 千代女
近よれば水は離れて山さくら 千代女
山桜花のうらこそ夕日影 千代女
象の眼の笑ひかけたり山桜 蕪村
飢鳥の華踏こぼす山ざくら 蕪村
海手より日は照つけて山ざくら 蕪村
剛力は徒に見過ぬ山ざくら 蕪村
暮んとす春をゝしほの山ざくら 蕪村
銭買て入るやよしのゝ山ざくら 蕪村
人間に鶯啼や山ざくら 蕪村
さびしさに花さきぬめり山ざくら 蕪村
まだきともちりしとも見ゆれ山桜 蕪村
哥屑の松に吹れて山ざくら 蕪村
みよしの野のちか道寒し山櫻 蕪村
材木の上にあらしや山桜 召波
かはり果し杖よわらじよやま桜 暁台
淵青し石に抱つく山ざくら 几董
蕗の葉に煮〆配りて山桜 一茶