和歌と俳句

北風 寒風

溶鉱炉火気の高みに人と北風 草田男

北風に窓閉づ蓄へ乏しからん 不死男

獄門を出て北風に背を押さる 不死男

北風や獄出て道路縦横に 不死男

退避するひとごゑ北風の垣曲る 林火

燃えさかる火中の北風をまざと見ぬ 林火

北風をくぐれる水の早さかな 汀女

北風いそぐやひとをあざむき了せたり 林火

北風に重たき雄牛一歩一歩 三鬼

北風に牛角を低くして進む 三鬼

北風を来しとは誰も語らずに 汀女

北風の奪へる声をつぎにけり 汀女

北風に眉引きいのち死なざりき 鷹女

北風高し尼僧の穿きて木靴鳴る 蛇笏

疲れゐる身に北風はみじめすぎ 立子

北風にまむき歩きて目に泪 立子

北風のここに一羽の鸚鵡飼ふ 鷹女

窟作りこんぶのやうな北風を塗り 鷹女

北風去つて欅の樹瘤微熱もつ 鷹女

北風すさび納め納めと何やかや 万太郎

北風やあるひは赤き蟹の足 万太郎

夕北風一きは月のほそりかな 万太郎

墓にあげて北風に交はる二燭の火 不死男

北風にまむき歩きて目に泪 立子

寒風

寒風に葱ぬく我に絃歌やめ 久女

寒風や菜に飛ぶ虫の散りぢりに 水巴

明日の網をつくらうてゐる寒い風 山頭火

寒い風の広告人形がよろめく 山頭火

うまい手品も寒い寒い風 山頭火

競つて売られる大魚小魚寒い風 山頭火

寒風と雀と昏るるおのがじし しづの女

寒風のつよければ振る旗おもし 素逝

青空に寒風おのれはためけり 草田男

煉瓦塀ただ寒風の想夫恋 草田男

寒風に未来を問ふな臍に聞け 草田男

寒風に吹きしぼらるゝ思ひかな 立子

寒風を来し目に少し涙ため 立子

寒風のぶつかりあひて海に出づ 誓子

対岸の人と寒風もてつながる 三鬼

寒き風吹けばきりりと面あげ 立子

寒風吹く何か面白き事無きやと 耕衣

縋るものなし寒風に取り縋る 鷹女

孤児肘を挙げぬ返しの寒風に 草田男

寒風に孤児なに物もなきところ 草田男

寒風の砂丘今日見る今日のかたち 誓子

寒風を突いて人皆用ありげ 立子

寒風にま向き歩きて泪拭く 立子

切通し多羅尾寒風押し通る 誓子

さむかぜに衝立の句碑無季を書く 静塔


初雪 初氷 寒さ 冬木立 枯木 冬枯 枯尾花 冬の山 枯野 みそさざい 都鳥 千鳥 冬の海 河豚 海鼠 冬ごもり 埋火 囲炉裏 焚火 炬燵 暖炉 火鉢 火桶 湯たんぽ 風邪 蒲団 マスク 襟巻 手袋 足袋 日向ぼつこ 北風 冬の雨 冬の月 冬至 柚湯 クリスマス 師走 年の市 煤払い 年忘れ 餅つき 
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