和歌と俳句

松山城

松山や秋より高き天守閣 子規

秋高し鳶舞ひ沈む城の上 子規

見上ぐれば城屹として秋の空 漱石

桐の花今に扉のなき三の門 悌二郎

巣の雀らしや出で入る天守閣 悌二郎

夕桜城の石崖裾濃なる 草田男

春の月城の北には北斗星 草田男

町空のつばくらめのみ新しや 草田男

炎天の城や四壁の窓深し 草田男

炎天の城や雀の嘴光る 草田男

石崖の片陰沿ひの幾角を 草田男

稲田照り真向きし城へ直帰る 波郷

兄と会ひつ城の石垣の秋おどろ 波郷

団栗を混へし木々ぞ城を隠す 波郷

藍に白を点じぬ城ある鰯雲 草田男

城庇やや散状に夏日直下 草田男

城高し刻み引き裂き点うつ百舌鳥 三鬼

城攻める濃緑の中鶏鳴けり 三鬼

城古び五月の孔雀視がかゆし 三鬼

天守閣の四望に四大黄麦原 三鬼

道後

寐ころんで泊らせる外湯哉 一茶

子規
見渡せばはるかの沖のもろ舟の帆にふく風ぞ涼しかりける

古塚や恋のさめたる柳散る 子規

温泉の町を取り巻く柿の小山哉 子規

葉桜に時の太鼓や午の雨 泊雲

巨き犬立ち迎へたる五月闇 秋櫻子

師と泊る夜寒の宿の閧へだて 上村占魚

松蟲の市なかに鳴く道後の湯 上村占魚

石手寺

石手寺へまはれば春の日暮れたり 子規

南無大師石手の寺よ稲の花 子規

通夜堂の前に粟干す日向かな 子規

石榴赤しふるさとびとの心はも 虚子

法の池堕ちて溺るる蝸牛 草田男

石手寺の廻廊涼し山の蝶 立子

春風や上げし線香の燃えてゐる 立子

石手寺の築地くづれての波 青邨