和歌と俳句

正岡子規

藁葺の法華の寺や鶏頭花

水せきて穂蓼踏み込む野川哉

溝川を埋めてのさかりかな

松に菊古きはもののなつかしき

人形をきざむ小店や菊の花

武家町の畠になりぬ秋茄子

秋茄子小きはもののなつかしき

切売の西瓜くふなり市の月

南無大師石手の寺稲の花

稲の花今出の海の光りけり

二の門は二町奥なり稲の花

稲の穂に湯の町低し二百軒

ところどころ家かたまりぬ稲の中

稲の雨斑鳩寺にまうでけり

稲の秋命拾ふて戻りけり

巡礼や稲刈るわざを見て過る

籾干すや鶏遊ぶ門の内

通夜堂の前に粟干す日向哉

唐辛子蘆のまろ屋の戸口哉

ほろほろとぬかごこぼるる垣根哉

牛蒡肥えて鎮守の祭近よりぬ

名も知らぬや山のはいり口

松茸はにくし茶茸は可愛らし

谷あひや谷は掛稲山は柿

せわしなや桔梗に来り菊に去る

柿赤く稲田みのれり塀の内