草花を画く日課や秋に入る
病床の我に露ちる思ひあり
十ケ村鰯くはぬは寺ばかり
虫取る夜運座戻りの夜更など
珍らしきみかむや母に参らする
断腸花つれなき文の返事哉
病む人が老いての恋や秋茄子
朝皃や我に写生の心あり
首あげて折 々見るや庭の萩
花ならば爪くれなゐやおしろいや
黒きまで紫深き葡萄かな
糸瓜咲て痰のつまりし仏かな
痰一斗糸瓜の水も間にあはず
をととひのへちまの水も取らざりき